認定微生物検査技師の徒然日々

どこかの認定微生物検査技師+ICMT 。ICTとかAST とか日々のゆるっとしたことをつらつらと。

医師に聞く グラム染色結果で期待するところ(プロローグ)

 症例に飛びたい方はこちら

gonorr.hatenablog.com

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グラム染色は顕微鏡で微生物を見る検査です。

簡単にできる、早い、得られる情報が多い!とあって、現代の感染症診療にはなくてはならないものとなっています。

話は脱線しますが、検体管理加算の要件(これら検査は常時できなければならない)のところに、グラム染色も含まれています。つまり、該当される加算を取っている施設は24時間グラムができないといけないわけですね。

実際、微生物技師が24時間常駐しているところはほとんどないわけですが…

 

そんなわけで、近隣の技師さんから相談を受けましたのが

 

・加算をとっているから、グラム染色はできるように機器とかをそろえているし、頼まれたら実施するけど、実際これであってるのかわからない

グラム染色結果を返却したけど、「本当にこれであってる?」と聞き返されてしまった。どんな答えを期待していたのかな

・急ぎで!と言われるときと、言われない時の違い

・普段報告している内容からもう一歩踏み込みたい~

上記の内容でした。グラム染色に関する書籍は多く発売されており、方法、アトラスなども見る機会が多いので

「実施はできるけど、生かし方がわからない!」

というところが問題なのかもしれません。

以前研修会の講師をした時のスライドをリサイクルして、かる~く説明してみたいと思います。なお、このスライドはICDのアドバイスも頂いて作成したので、医師の意見は割と反映されていると思います。

 

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1:グラム染色は何のため?

 

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種々の所見から、感染症を疑う患者さんであれば、感染臓器+起炎菌の推定(咳嗽・発熱なら肺炎?→市中肺炎なら肺炎球菌など)を行い、それを証明するため種々の検査を実施します。

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検査と技術 増刊号 イエローページより一部改変

培養検査は、菌が〇+、〇+といったように定量性があり、なおかつ感度も高く、生菌を検出できますが、時間がかかるのが欠点です。一方、グラム染色の大きな利点は

 

・はやい

・安い

・うまい(生体細胞も染まるので、慣れた技師なら炎症背景などの推定、更なる付加情報の付与が可能)

 

実際に架空の症例を想定して、レクチャースライドを作ってみました。

<初級編>

1.急に悪くなった

2.どっちですか?

3.予想外の一言

 

<応用編>

1.熱が下がらない

2.本当にいないんですか?

3.色々見えてます

 

初級編、応用編は別の記事で!