ご挨拶
はじめまして。
このブログは、どこかの病院で勤務する臨床検査技師のブログです。臨床検査技師ってなに!?って方は以下をどぞ!
http://www.jamt.or.jp/target/general/introduction/
専門は微生物。他にも一般など、色々とやりましたがなんやかんやで微生物です。
タイトルにありますように、新卒5年、最短年数で認定+ICMT(感染制御認定臨床微生物検査技師)取得いたしました。
受験年度は2017年です。
現在は、院内のICT(感染対策チーム) AST(抗菌薬適正使用支援チーム)のメンバーとして、微力ながら走り回っているところです。
周りの検査技師さんから、いったいどうやって認定をとったのか?どのようなことをしたのか?と質問いただくことが多く、勉強方法などの備忘録+αなどなどゆるっとした感じにしていきたいと思います。たまに難しいことかきますが、ゆるーい医療ブログとしてみてもらえれば幸いです。
簡単な経歴
大学四年、中々就職先が決まりませんでしたが、ご縁があり現在の病院に。
微生物に配属されました。
1年目:学会発表
2年目:論文投稿+二級微生物取得+尿一般も兼務
3年目:学会発表+論文投稿
4年目:学会発表2つ+論文投稿+輸血部にお手伝いに
5年目:学会発表
6年目:受験→合格
という感じです。認定臨床微生物検査技師の受験資格、私が入ったばかりの頃は、筆頭論文1+共著2+学会筆頭3だったので、共著を待つより、筆頭で3つ書くしかないと思い、書きました。いずれも、学会発表したものをBrush upしたものです。
その節は、様々な先生方に、尽力していただき大変ありがたくおもっています。
特に地域の技師さんたちには、こんな若造に何の見返りもなく、持っておられる知識、技術を惜しみ無く提供していただきました。
感謝の言葉しかありません。
おかげさまで、実際の筆記試験も、英語和訳+筆記共に高得点?だったそうです。
ですが、日々の業務においてはまだまだわからないことだらけ…。
そして微生物検査の激戦区におるため、ペーペーペーペーのひとりです。
私が、地域の技師さんたちに色々とご指導いただいたように、認定取得を志す方の一助になれば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします!
認定取得に関する記事↓
<受験資格取得編>
<筆記試験>
<実技>
<試験結果講評など>
今年の二級と認定微生物
受けた部下からの情報を書き出してみました。
昔と色々違ってて驚きました。
二級微生物
BLNARの耐性機序をこたえる(PBP変異による親和性低下、酵素じゃないよ)
PBP3(セフェム系の主な標的酵素)をコードしているftsI 遺伝子を変異させています
動画試験はPPEの着脱方法について
え?BLNAR!それは中々、、と唸った
認定微生物
部下いわく、とにかく筆記が難しかった
時間が足りない!
埋めるので精一杯
試験管培地はS.Typhiが出たと聞きました
あ、これは正式名称で書かないと。
Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhiですね
耐性菌は(おそらく)IMP6のK. pnemoniae
IPMのMIC値が低く、MEPMが高いのが特徴
SMA
DDST(AZTのみ反応)
なんでこれを出したか、個人的に思った理由
①ステルス形
え?MEPMが高いんだからひろえるでしょ、と思われるかもしれませんが、病院によっては感受性検査(今はだいぶ少なくなったけど)MEPMはかってなくて、IPMだけのところもありました。
多分、GPと一緒のプレートにしてコストを浮かせるというところもあったのかもしれません
GP系は大体IPM入ってますよね
なので、IPMしか測定していない施設では
CAZ R
IPM S
となるため、中々
うおお!カルバペネマーゼだ!とはなりにくいのかもです
とはいってもCAZが高い時点で、アンテナ貼るべき案件なのかも。いやはや耐性菌むずい
日本のESBLってほぼCTX型なのでCAZが上がるって、実はそんなにないんですよね
うちも昔はCAZでCPE拾ってました。
今はMEPM≦0.125がCPEのカットオフ値としてすすめられております
②IMP6はESBL同時産生株がほとんど。それを知ってるか、DDSTを見抜けるか
メタロβラクタマーゼはセリン型、AmblerクラスBです。
AZTを分解しにくいという特徴があります。
うちではほぼないのですが、感受性が残っていれば使うかも、という施設も(今はないかも)昔はあったとか。
従ってここがS かどうかというのは非常に重要なインパクトを持ちます。
ESBLはAmblerクラスA モノバクタム分解しますので、AZTはMICが低くてもRとなります。
英文和訳は
TBについて、と聞きました
私のときはアンチバイオグラムの作り方についてでした
微生物に関連するトピックスが出題されます。
受けた部下から話を聞くと
ものすごく勉強になった、自分に足りないところがわかったし、認定に求められることが少し掴めた。
また来年頑張って受ける!(気が早い(笑))とのことでした。
部下が来年受けるかはわかりませんが(笑)
実りある試験になったようです。
試験委員の先生方、お疲れ様でした。
3年ぶりの更新&自分なりの認定試験ヤマはり
すっかり放置していました
気づけばもう3年がたち、自分も一回目の更新時期が来ました(笑)
この3年間で、シンポジストや原稿依頼などなど色々なお仕事を頂きました。
ありがたい限りです。皆様のスキルアップに携わることができればと思います。
さて、二級もそうですが認定も実技は実際に操作するわけではなく机上でやるようですね。
(SNSを拝見すると、そのように投稿されてる方がいました)
本来であれば
培地判定
試験管培地判定、菌種同定、血清凝集
薬剤感受性判定
が実技なんですがこれが机上になるということは、
グラム染色→患者情報と共にグラム染色画像を見て菌種をフルスペルでこたえる
培地判定→患者情報と培地の写真がありフルスペルでこたえる
試験管培地→試験管培地の写真、それぞれの判定結果(A/AG等)、血清凝集の写真(S. sonnei等)がありこたえる
薬剤感受性判定→定規持参のようです。阻止円径測定し、推定される耐性機序をこたえる
という感じになるかと思います。
ちなみに、今年二級受けた子から
薬剤感受性判定→BLNARの耐性機序を記載
試験管培地→S. sonneiが出題
と聞きました
BLNARは中々難しいですね。
B L βラクタマーゼ
N 陰性 非産生
A アンピシリン
R 耐性
なので、酵素による耐性ではありません
薬剤耐性菌には
①酵素
②結合部位の変化
③排出タンパク亢進
等様々な機序がありますが、その内容を知っておくことは重要です。
①の場合は、プラスミド性であれば伝播します。酵素量によっては今はSとされている薬剤が後々Rになる可能性もあるからです。これは試験に出しやすいです。どの阻害剤が検出に有用か?
耐性機序をこたえさせた上で、R判定とすべき抗菌薬を答えさせる問題は出しやすいですね。
②に関しては、伝播はしにくいでしょうが、酵素阻害剤を用いても感受性は復活しません。部位自体がもうダメなので同系統の薬剤は全てRになります
③はめちゃくちゃ複雑です
ompKやmex エフラックスポンプなど、語ればきりがありません。
ですが、薬剤耐性菌の機序、それによって生じうる
認定試験をといてみよう Taxonomy1編
すっかり更新を忘れていました。
認定試験や二級試験は、国家試験同様、主に検査技師が作成しています。
問題の作成方法にも色々なおきてがあります。ちなみに医師国家試験などなど、公的な試験には大体選択式、Taxonomyの概念が使われています。
正解率は低すぎても高すぎてもよろしくないみたいですね。
TaxonomyⅠ~Ⅲまであり、Ⅰは単純な知識問題です。
設問→想起→回答
実際に認定で出た問題(当時の受験レポをたよりにかいています)
IGRAが陽性になる抗酸菌を2つ選べ。
1:Mycobacterium avium
2:Mycobacterium kansasii
3:Mycobacterium abscessus
4:Mycobacterium intracellulare
5:Mycobacterium tuberculosis
正解は2と5です。
IGRAはMycobacterium tuberculosis complex以外の抗酸菌も陽性になることがあります。左:complex 右:それ以外の抗酸菌
M.tuberculosis | M.kansasii |
M.africanum | M.marinum |
M.bovis | M.szulgai |
M.flavescens | |
M.gastri | |
M.gordonae |
もうひとつ
Nutritionally variant streptococciを2つ選べ。
1:Aerococcus urinae
2:Gemella haemolysans
3:Abiotrophia defectiva
4:Granulicatella adiacens
5:Streotococcus viridans
答えは
3と4です。
NVS(栄養要求性連鎖球菌)を選ぶだけの問題。
最近ではこんなのも
WHOの手指衛生タイミングで誤っているものを選べ。
1:患者に触れる前
2:清潔操作の前
3:無菌操作の前
4:患者周辺の物品に触れる前
5:患者の体液に接触した可能性がある場合
誤っているのは4です。
物品に触れた’後’ですね。
↓サラヤさんのHP まとめてあります
https://med.saraya.com/who/fivemoments.html
ちなみにTaxonomyⅠレベルの問題は二級試験の過去問にもほとんど出ております。
単純な知識で解答できるものも割とありますので
認定だからと言って全部全部応用ではないんですね。
やれるところからコツコツと!!
医師に聞く グラム染色結果で期待するところ(応用編)
プロローグ、初級はこちら
応用編は以下の3つで、少しニッチなところを出していきます。
1:熱が下がらない
2:本当にいないんですか?
3:色々みえてます
1:熱が下がらない
10代 女性
細菌性髄膜炎(A群溶連菌)と続発する人工呼吸器関連肺炎いてCAZ+CLDM+ABPC投与中
酸素化悪化、発熱も継続しているため喀痰のグラム染色依頼あり
さて、菌は見当たりません。どうしましょうか?
よーく見ると、微妙に色合いが異なる白血球があるのわかるでしょうか?
菌は陰性ですが、好中球+少し色味が異なり、細胞質も顆粒状の多核白血球が存在しています。ギムザ染色を実施したところ…
好酸球であることが判明しました。慣れれば、グラムでも好酸球の鑑別が可能です。
この症例は、CBCでも好酸球分画が増加、その他所見から薬剤性肺炎を疑い抗菌薬をABPC単剤のみに変更し、その後改善が認められたものです。
この症例のポイントは、グラム染色による炎症背景推定でした。
好中球以外の細胞もある程度慣れればわかるため、生体細胞の判別には以下のメリットがあります。
・好酸球が多数あればアレルギー性の炎症を示唆する所見
(気管支喘息、薬剤性肺炎、ABPA、ABPMなど)
・マクロファージ多数(細胞内寄生菌)レジオネラを想定
・円柱上皮脱落 インフルエンザ、マイコプラズマなど
症例2 本当にいないんですか?
60代 男性 1か月ほど前から咳嗽が出現、近医受診し、細菌性肺炎の疑いでクラビット処方。一旦は収まるも、再度咳嗽の悪化があり受診
さて、病歴を見ただけですごく嫌な予感がします。
喀痰のグラム染色です。壊死物質?でしょうか、とにかく背景が汚いです。
さてさて、、抗菌薬投与にもかかわらず改善しない場合はいくつかの例が考えられます。
・感染症じゃない
・起炎菌のスペクトラムを外している
・投与方法に問題がある、移行性の問題
・遠隔感染巣がある(膿瘍など)
これはどれでしょうか?遠隔感染等、投与方法に問題があれば、新しい好中球・古い好中球が混じった持続炎症像+残ってきた菌が見えてもおかしくありません。
ですが、この像では、崩れた好中球+壊死物質のようなものが見えるだけ。
さて、よく目を凝らすと、何か見えないでしょうか?
何かいますね。というわけでチールネルゼン染色を追加しました。
この症例のポイント グラム染色で、炎症があるのに菌が見えない
・染まりにくい微生物
結核、レジオネラ、その他特殊微生物
・「好中球はあるけど、菌がいない」も立派な所見
抗酸菌・真菌検索等…
ちなみに私は普段、感染症or非感染の鑑別として、弱角で多核白血球≦500を一つの目安として、後は粘液成分、好中球の輪郭など参考に判定しています。
最後の症例
70代 COPD、糖尿病既往 2,3日前から全身倦怠感
呼吸苦で受診
たくさんの菌が見えています。
グラム染色の結果だけでなく、微生物の結果を医師に伝えるうえで大事なことは、
「医師が欲しい情報をセレクションする」ことだと思っています。
例えば、これは喀痰のグラム染色ですが、そこで医師が知りたいこととしてはおそらく、
①検体の品質はどうか?
②感染症っぽいか?
③感染症っぽければ、何か起炎菌っぽいか?
に集約されるでしょう。ここで「グラム陽性連鎖球菌が○○だけいて、陽性桿菌が~」という結果では、上の3つをいずれも満たしていません。
髄液や、膿、血培などは菌種推定が大事ですが、こういった常在菌が入り込む検体では、どちらかというと炎症背景の把握が最重要課題と思っています。
さて、このグラムはどうでしょう。
ゲックラー3
グラム陽性球菌、陰性球菌、陽性桿菌、陰性桿菌が〇+。貪食像あり
となります。ですが、もう少し進んで初見をとってみましょう。
上皮成分+好中球+口腔内常在菌が認められていることから、唾液誤嚥性による炎症を疑う初見ではないでしょうか?加えて、少し観察すると、食物残渣、でんぷん粒のようなものも見えます。
こういった像があるときは、医師に「この患者さん、誤嚥される方ですか?」と聞いてみましょう。
患者家族への聴取で、普段からむせがあることが判明し、グラム染色の結果と合わせて誤嚥性肺炎と診断、ABPC/SBT+嚥下リハを行い軽快された症例です。
さて、こういった症例はよく遭遇します。
その場合、グラム染色の結果と培養は大体
ゲックラー3
グラム陽性球菌、陰性球菌、陽性桿菌、陰性桿菌が〇+。
αーStreptococcus
CNS
Neisseria sp.
GPR
といった風に表示され、(検査センターさんだとこうなるかも)
医師には肝心の「誤嚥性肺炎っぽい」という情報が伝わりません。
身もふたもない話になってしまいますが、結局はグラム染色も、色々な症例があるのでその場その場の医師とのコミュニケーションになると思いますが、こちら側もある程度向こうの考えを知っておくことでよりよい感染症治療につながるのでないでしょうか。
って話を技師さん向けの研修会で話したらみんなDIO様のスライドしか覚えてませんでした。(オチ)
グラム染色の至急、どしどしご依頼ください
医師に聞く グラム染色結果で期待するところ(初級編)
前回の記事はこちら↓
グラム染色に抵抗がある理由を聞いてみると
医師が何を想定しているかがわからない、という意見をよく聞きます。
そこで、うちの先生に、急ぐ症例ってどんなんですか?と聞いてみたところ、下記の回答をいただきました。
1:致死率が高い
髄膜炎、壊死性筋膜炎
2:起炎菌が多岐にわたるため、菌種推定が困難
入院歴多数、施設入所
3:抗菌薬投与中にもかかわらず改善がない
4:早急な感染対策が必要かしりたい(結核疑い)
5:カルバペネムばかり使っていると馬鹿だと思われる
架空の症例を交え、紹介していきます。
初級編は以下の3つ。
1.急に悪くなった
2.どっちですか?
3.予想外の一言
<1.急に悪くなった>
60代 男性
数日前から感冒症状があったが様子を見ていた。
本日朝、発熱および咳嗽の悪化、悪寒戦慄を認め受診。
肺炎球菌でした。さて、喀痰で医師が知りたいことをうちのICDとしゃべりながらざっくばらんにまとめてみました。
①:良い痰かどうか
質が悪ければ取り直しも考慮しなくてはいけない
好中球が多く、上皮が少ないものが良質な検体と言われていますが、誤嚥性肺炎の場合は上皮と好中球が一体となって認められる場合もあるため、患者背景もしっかり見ることが大事ですね。この症例は、肺炎球菌性肺炎ですが、肺炎球菌の場合はフィブリン塊が析出、背景が汚い?べったりするのが特徴です。
②:感染症を起こしているか
COPD、IPの急性増悪などなど、感染症か、そうでないか鑑別困難な場合がある。
抗菌薬を投与するかしないか、の判断に
左は、白血球の輪郭が崩れています。右は比較的輪郭を保った白血球が認められてます。
肺炎球菌や口腔内常在菌感染では、急性期感染であっても、白血球の輪郭が崩れることがあります。
右の場合は、比較的急性期の炎症でしょうし、左の場合は菌体も認められず、明らかな急性炎症は否定的と考えます。
③:炎症がある場合、どのような菌が見えるか
抗菌薬の選択に影響する
これは言わずもがなですね。市中肺炎では、肺炎球菌やモラクセラ、インフルエンザ桿菌が主要な起炎菌です。
症例2:どっちですか?
50代 女性 特に既往歴なし
1週間前より右下肢に疼痛+
痛みの増強紅斑の拡大を認めたため緊急受診
壊死性筋膜炎として緊急デブリ
さて、ここで医師が「連鎖か、ぶどうか?」という形態を聞いてきました。
壊死性筋膜炎は致死率も高く、早急に抗菌薬投与+創部のデブリが必要です。
一枚でまとめてみました。壊死性筋膜炎の場合、主要な起炎菌は溶連菌ですが、糖尿病患者などでは複数菌種検出されることもありますし、起炎菌の種類も多岐にわたります。また、ぶどう上であれば、MRSAの場合も想定してVCM、連鎖であれば溶連菌に対しての第一選択ペニシリン系+毒素を抑えるためCLDMを併用します。
複数菌種見えている場合は、VCM+MEPMで手広くカバーするわけですが、これだけでも10000円近い薬価がかかります。対して、グラム染色で、単一菌種であることを証明できれば、高くても4000円ほどで済みます。
グラム染色は、病院のお財布にも間接的に影響を与えます。
3症例目 予想外の一言
1歳 女児
生来健康
3日前より発熱、近医受診しフロモックス処方
改善なく昨夜から嘔吐・意識障害出現
細菌性髄膜炎で腰椎穿刺
髄液グラム染色で、陽性桿菌、のちにリステリアが検出されました。
こんなにたくさん見えることはまずありません。
(実はこれも血培のグラム染色です)
そして、リステリアの場合、塗抹陽性率は肺炎球菌性髄膜炎と比べるとがくっと下がります。
髄膜炎は内科的緊急疾患です。年齢別に起炎菌は異なりますが、これはあくまで目安であり、実際ふたをあけてみないとどういった菌がいるかはわかりません。
陽性菌と陰性菌で色分けをしてみました。形態推定ができなくても、陽性か、陰性化だけでも十分助けになりますので(医師いわく)恐れずにグラムやっていきましょう
応用編へ続く
医師に聞く グラム染色結果で期待するところ(プロローグ)
症例に飛びたい方はこちら
グラム染色は顕微鏡で微生物を見る検査です。
簡単にできる、早い、得られる情報が多い!とあって、現代の感染症診療にはなくてはならないものとなっています。
話は脱線しますが、検体管理加算の要件(これら検査は常時できなければならない)のところに、グラム染色も含まれています。つまり、該当される加算を取っている施設は24時間グラムができないといけないわけですね。
実際、微生物技師が24時間常駐しているところはほとんどないわけですが…
そんなわけで、近隣の技師さんから相談を受けましたのが
・加算をとっているから、グラム染色はできるように機器とかをそろえているし、頼まれたら実施するけど、実際これであってるのかわからない
・グラム染色結果を返却したけど、「本当にこれであってる?」と聞き返されてしまった。どんな答えを期待していたのかな
・急ぎで!と言われるときと、言われない時の違い
・普段報告している内容からもう一歩踏み込みたい~
上記の内容でした。グラム染色に関する書籍は多く発売されており、方法、アトラスなども見る機会が多いので
「実施はできるけど、生かし方がわからない!」
というところが問題なのかもしれません。
以前研修会の講師をした時のスライドをリサイクルして、かる~く説明してみたいと思います。なお、このスライドはICDのアドバイスも頂いて作成したので、医師の意見は割と反映されていると思います。
1:グラム染色は何のため?
種々の所見から、感染症を疑う患者さんであれば、感染臓器+起炎菌の推定(咳嗽・発熱なら肺炎?→市中肺炎なら肺炎球菌など)を行い、それを証明するため種々の検査を実施します。
培養検査は、菌が〇+、〇+といったように定量性があり、なおかつ感度も高く、生菌を検出できますが、時間がかかるのが欠点です。一方、グラム染色の大きな利点は
・はやい
・安い
・うまい(生体細胞も染まるので、慣れた技師なら炎症背景などの推定、更なる付加情報の付与が可能)
実際に架空の症例を想定して、レクチャースライドを作ってみました。
<初級編>
1.急に悪くなった
2.どっちですか?
3.予想外の一言
<応用編>
1.熱が下がらない
2.本当にいないんですか?
3.色々見えてます
初級編、応用編は別の記事で!